炉端山友会のバリエーショントレーニング
宝塚蓬莱峡と河内長野の奥立岩にて
2015/04/18〜19
炉端山友会で安全登山を目指して、登山技術の向上のため、岩場で基本的な講習を行いました
講師さんと炉端のクライマー達が補佐しました。経験者から初めての方まで、安全基本を習いました
目的は、クライミングを始めるためではなく、何時どの場でも安全に登山する技術の講習です
もちろん、クライミング技術が盛り込まれ、クライミングに発展してゆく会員もいるでしょう
第一日目
蓬莱峡で晴天の中行われました。土曜日のためか比較的岩場は空いています
先ずは初心者のトラバースです。フィックスロープは細かく支点を取り、支点をブルージックで越えてゆきます
支点で自己確保すれば簡単ですが、ブルージック二つを使います
手早いブルージック設定が必要です。(片手で出来るのが理想)
  

ショウタンが行った支点の通過です
左のブルージックで安全を確保してきて支点右に二つ目のブルージックを作り、右側で安全を確保してから、左を外す
以上の繰り返しで幾つかの支点を越えてゆきます
もちろん、自己ビレイしてから次のフィックスに移動してもかまいませんが、あくまでも訓練です
重要な所は、壁に向かって正対してトラバースをする事です
クライマーが見本を見せてくれました
足運びです(外側からクロスで足を出すか内側を通す。内側を通すときは踵から通すのが理想。足の柔軟性が求められる)
 
体が壁と90度向く足運びは危険です
下山はロープで補助して下ります。
懸垂下降をする必要の無い角度です
ブルージックで安全を確保した受講者もいました
次はトップロープでクライミングです。
高さへの恐怖が無くなる程度です。コースは比較的登りよいところでした
失礼ですが、悪い見本です。壁に対して腰が引かれ、手で登ろうとしています
 

正しい足運び   
 クライマー達

足で登ろう。足は1時間立ってもそう疲れませんが、手で登ると疲れは普通では有りません
壁に対して腰をひっ付けるほどで立つのです。次の一歩を見るときは、股下から見るのではなく、肩越しに足元を見えるほど余裕の反りが出来なくてはいけません。そう出来る事で足が伸びます。そして手でバランスを取れば良いと言います
   ロアーダウン中
右のクライマーは足が伸びて立っています。手は肩より上に置いていません
手で上のホールドを掴み引き上げる動作はしないのです
ショウタンのへっぴり腰と見比べて下さい。足が曲がり、腰が引けています
もちろん、手で上がる時もあるでしょうが足で登るが基本と言う事です
そして自己ビレイです。
講師は自己ビレイについては非常に厳しいです。
自分の失敗だけではない。隣の人がチョットかがんだだけで、お尻が当たりつき落とされる
バランスを失った方が藁緒もつかむ思いでとっさに体をつかまれ落ちる事も多いという
場所によっては、一箇所に数人が取らなければいけないときもある。
それには、支点が、自分の中心より上に無ければいけない
さらに、ビレイロープが弛まないことが必要だと説く
自然落下は体重の10倍の加重がかかる、その加重を少なくするためだ
止む得ず支点より高い位置にいる場合は、ビレイロープは極力短く、すわり姿勢等で落下しても衝撃を少なくしよう

又、ロープ支点などにビレーするときは写真のように、万が一を考慮しよう
ショウタンのデイジーチェーンはひばり結びで結んでいるが、これはロープ強度が半減する。下の写真参考に

自然落下の衝撃は体重の10倍だととく、やむを得ず支点より高い位置の人は、極力ビレイロープを短く万が一の落下距離を抑える事です
立つのではなく座った姿勢でいよう
又、ダイニーマ素材とナイロン素材の違いを説いた。ナイロンは伸びる事により衝撃を和らげるが、ダイニーマは直に衝撃が伝わるが、軽くて強い特徴がある。
又、デイジーチェーン の扱いについても注意が要る事を説いた
 ←デイジーチェーンの長さ調整の仕方

最悪なカラビナの掛け方、死ととなり合わせだ

間違いの少ない PAS(パーソナル・アンカー・システム)の方が主流かも、ショウタン論
 

 
次は懸垂下降だ
バリエーションや沢ではロープダウンが出来ない時がある
そんな時は、ロープを肩に巻き伸ばしながら降りてゆく、
その方法を習ったが写真は無い。又手直しして書くから今はその時の写真にしておこう

又、エイトカン下降時にロープよじれが起こるときがある
ダブルならロープの間にビレイ用のカラビナを入れて下れば、それを防げると説く
 
                                                            写真はATCですが↑
全部書けばきりが無い、ショウタンはクライマーの専門用語を使わず、ショウタン的に書きました
第二日目
奥立岩にて
第二日目は、確実な支点の取り方と、正しいエイトノット、ダブルフィッシャーマンノット、又、下降中に滑っても顔を打たない下降器のつけ方
目から鱗は、ロープでロープを切断する方法だ。ロープの熱に弱い事を目の前で見ると驚くが、長いロープを残置するに忍びないときに、使う手だが知っておくと何かに役立つだろう。
10ミリロープを切った
二日目は10時になれば雨が止むと予測して、その時間を利用して、ロープによるロープの切断法を習った
もうお分かりだろう。講師は1分足らずでロープを切断した。ロープは熱に弱い事の証明でもある
奥立岩に向かう。雨が止んでいた。リンクの場所に上手く置けば5台の駐車スペースが有る
権現の滝付近から奥立岩に登り、先ずWフィッシャーマンノットの確実な作り方だ。

ロープ性質から基本どおりの手習いだ。次は正しいエイトノットだ。ロープが重ならない方法でなければならない
文章で書けば、手前のループを外側に突き出すという事だ

  
出来損ないのエイトノット、黄色のテープが前のままになっている
二枚目のように手前ループを奥に出してから輪を通す
出来損ないのエイトノット裏側

Wフィッシャーマンは次の機会としよう
 ←正しい結び 間違った結び→ 
次は木等に支点を取る法だ。立ち木を見極める
ループロープが有る場合は、以下の方法が良い
二本の木にとる場合は一番目の写真が望ましい
二枚目は手で掴んでいる所がロープにストレスが繋る。
一本の木なら木にブルージックを作れば、支点はその場から動かない
又、木の根元にそのままロープを回すと事もあるが、ロープがシングルで木の強度が足りないと感じる時などが良いだろう
この10mmロープは、ロープ摩擦を利用して切り取ったものだ。
  
又、ロープの長さが足りずドッペルで使えず(Wに折り返し)直接木に作る場合は以下の方法がある。
もちろんロープは残置する事になる
エイトノットやBowline knot等多くの方法があるがこれらはロープが少なくて済みその位置が動かない方法だ
  
三枚目は端処理が望ましい。

これらは究極の場合で、ロープが捨てられる場合だ。
どれも熟知しないと解ければアウトだ。出来うる限り端処理をしよう
又このインクノットはロープが引かれる方向を間違うと解ける事があるから注意だ
他にもいろいろあろうが、これらの結びはその箇所から移動しない
竹などで経験すると良いだろう
一本のロープで作った支点
次は登攀だ。一本のロープに四箇所で支点を作り、各支点間に一人がブルージックで登る
時間の節約と、支点でブルージック架け直す練習だ。このときは自己ビレイしてからブルージックを外し、次の閉塞間にかける
 
上級者は各支点で指導する
次は、自分で作った支点で懸垂下降だ。
皆、ロープの結びに真剣になる。もちろん失敗しても、講師が作った支点が有り、その部分が保障されている
  
懸垂下降は、技術力が低いほど、ハーネスのビレーループと下降器の間にスリング等を入れよう
万が一足が滑っても顔面強打が免れる
又、下降器下にブルージックを入れ、ロープを掴む圧力が少なくて済むだろうし、万が一の場合滑り落ちる事を防げる


下降時の注意事項はリンクします
最後に、バリエーションでも懸垂下降しなくても良いコースを探すのが基本だ
懸垂下降で下りルートを取るのは最後の手段で、今回の講習はあくまでもクライミング講習ではない
クライミング術を利用したおのおのの力量アップが目的で、どんなコースでも自力で行動できる力をつける事を目的としている
マタマタ、沢登り講習や、クライミングにと向かって行くかたがたもいるだろう
あくまでも、炉端山友会は個人の、会の技術力を高め、より安全なハイキングや登山を目指す事を目標にしている
この記事は、ショウタン的書き方です
あくまでも、自分の技術力強化には、よき先生の講習を受けて下さい
見ただけ、読んだだけでは細部まで分かりません。
私達炉端山友会には、良きクライマーと講師がおられます
小さなクラブから学び取る私ですが、本当に山は楽しい
落石についての一言が講師から有りました
同感ですから、載せておきます

落石の原因はほとんどが、人為的なものによります。
よく「落石に当たるのは、下にいる人にも責任がある」という人がいますが、そういう人はまず自分が当たって大怪我をしてみればわかります。必ず、「落とした人が悪い」と言うように変わります。

落石の被害を受けた人の、責任(加害者)になることはあり得ませんので、石や岩を落とさないように細心の注意を払い、誤って落とした場合、怒鳴り声(大声くらいでは絶対にダメですよ!)で「ラク、ラク、ラクッ!」と言って下の人に注意喚起して下さい。それで避けてもらえば運がいいのです。そして必ず謝っておいてください。しかし、運悪く当たって怪我をさせた場合、それ相当(賠償)の覚悟しておいてください。当然謝るでしょうが、謝っても許してもらえるものではないでしょう。

岩場以外でも、落石の危険性は存在しますので、浮石など落下の危険性がある場合、その石が安定する場所に移動させてください。邪魔だと思っても決して下に投げないでください。

細かいことばかりで、うんざりされるかもしれませんが、どうかこの先も炉端山友会(それ以外でも)で楽しく山あそびをしたいなら、このことはいつも新鮮な記憶として、意識の最前列の方にしておいてください。

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